【セラピスト道】お客様が「見つからない」本当の理由。脳のフィルター”RAS”の罠
さて、第1回では、私たちの成長を阻む強力な「現状維持システム(ホメオスタシス)」の存在についてお話ししました。
では、そのシステムは、一体何を基準に「現状」を定義し、守ろうとしているのでしょうか? なぜ、あなたの脳は「お客様がひっきりなしに来る、豊かな状態」ではなく、「お客様が見つからず、不安を抱えている状態」を“安全な現状”だと認識してしまっているのか?
その答えは、あなたの脳に搭載された、超高性能な”自動フィルター”に隠されています。
【解説】あなたの脳の「検索アルゴリズム」
あなたの脳は、まるでGoogleのように、常に**「今のあなた」というキーワードで、世界という膨大な情報を検索しています。この検索アルゴリズムの役割を担っているのが「RAS(ラス)」**です。
※言葉の解説:アルゴリズムとは 直訳すると「計算方法」や「問題を解くための手順」といった意味になります。 ここでは、Googleが「どの情報を、どの順番で表示するか」を決めるための、**独自の”計算ルール”や”判断基準”**のようなもの、と捉えてください。
もし、あなたが無意識に「私はお客様から選ばれない、まだ駆け出しのセラピストだ」というキーワードで検索をかけているとしたら、脳は忠実に、その検索結果だけをあなたの現実に表示します。 「ほら、やっぱり今日も予約は一件も入らない」 「魅力的なお客様は、みんな他の人気サロンに行ってしまう」 そんな情報ばかりが、あなたの目に飛び込んでくるはずです。
【スコトーマ】脳が作り出す「心理的な盲点」
では、「あなたを熱烈に支持し、高単価でも喜んで払ってくれる理想のお客様」はどこにいるのか?
それは、あなたの脳の検索結果では重要度が低いと判断され、検索結果の2ページ目以降に追いやられています。つまり、「スコトーマ(心理的盲点)」に隠されているのです。
※言葉の解説:スコトーマとは 元々は眼科用語で「盲点」や「見えない部分」を指す言葉です。心理学やコーチングの世界では、物理的に見えているはずなのに、脳が重要でないと判断して**「認識できなくなっている情報」**のことを指します。
存在はしている。でも、あなたの脳のアルゴリズムでは、決してあなたの目に触れることはない。 「私のお客様は、安さを求める人ばかり」と思い込んでいると、あなたの価値を正当に評価してくれるお客様の情報は、スコトーマに隠れます。 「私にはまだ無理」と思っていると、あなたを飛躍させる素晴らしいコラボの機会やセミナーの情報は、見事に視界から消えてしまうのです。

【最初の戦略】まず、自分のOS(脳の仕組み)をハックする
つまり、新しい集客ノウハウやマーケティング手法を学ぶ前に、まずあなたの脳の検索アルゴリズム(RAS)そのものを最適化する必要があるのです。 これができなければ、どんな素晴らしい情報も、あなたの前には現れない。宝の持ち腐れです。
この強力な脳の仕組みの存在を、客観的に理解すること。 そして、「今の私の脳は、一体どんな“残念な”キーワードで検索をかけているんだろう?」と、自分を俯瞰して分析すること。 それが、「選ばれ続けるセラピスト」になるための、極めて重要な第一歩です。
【次回予告】
では、この検索アルゴリズムは、何を基準にキーワードを設定しているのか? 次回は、その最も重要な設定項目であり、あなたの現実を支配する**「セルフイメージ」**の正体について、メスを入れていきます。